川口由一さんの実地指導

2007年10月14日の指導の一部です。

この日は、稲刈りの実習です。実習田の稲刈りには少し早すぎますが、実習のため行いました。稲刈りの適期ですが、稲穂の3分の2が枯れた状態で、かつ、1株の穂の3分の2がそのような状態で、かつ、田んぼ全体の稲の3分の2がそのような状態になったときが、適期です。収穫前1週間から10日くらいから収穫までの間に、熟して粒が太ってきますので、適期に刈るようにします。ほんとうは、全ての穂が枯れて、完熟させるのが一番いいのですが、脱粒が多い、脱穀時に穂がちぎれてうまく脱穀できない等で、上記の状態のときに稲刈りをします。 3列から4列くらいを右から左に刈って、左側に置いていきます。(この場所は、3列目から赤米が植わっていたので2列づつ刈っています。)株の大きさによって、2株から3株を3回刈って、6株から9株を1束にします。この場所では2株づつ刈っています。
 
2株刈って、左側に置きます。 さらに2株刈って、交差して置きます。
 
最後に、真中に置きます。これで6株で1束になります。このように置くことにより、はざ掛けするときに、1束を1対2に分けやすくします。 刈った稲は、このように、後の作業のことを考えて、人が通れるように間を空けて、並べていきます。
 
結束用の藁を3〜4本、斜めにおいていきます。 次の括る作業を考えて、このように斜めに、藁をおいていきます。
 
稲束の結束の仕方です。写真のように、手のひらを上向きにし、右手に藁の根元の方を持ちます。 上から、被せて、稲束を、ひっくり返します。
 
かるく絞めて、左手を固定して、右手を時計回りに一回転させます。そのとき右手は、一旦離れ、持ち直します。 最後に、親指で押し込みます。
 
このように、2対1に分けて、はざ掛けします。 結束、出来上がり。これは、上記の写真とは、反対側に立って、括ったものです。上記の写真では、稲束の根元のほうから穂の方に藁が押し込まれます。
 
稲木の立て方です。昨年までは、杉杭を使っていましたが、杭屋さんに細手の間伐材が入らなくなったそうで、購入できませんので、今年は、稲木に竹を使っています。滑って括りにくい、割れやすい等の欠点があります。稲木に一番いいのは、桧の間伐材で、次が、杉だそうです。 稲木の方向は、南北に立てます。まず2本立てます。
 
鎚で打っても割れないように、竹の端は、節のところで切っています。 3箇所に杭を立てましたが、並行ではなく、ハの字になるように立てています。このようにして倒れにくくします。
 
縄で括ります。竹は滑りやすいので、一回一回強く締め付けます。 反対側も括ります。
 
端の支えを打ち込みます。 縄で括ります。
 
稲束を2対1に分けて、1の方を手前にして、交互に掛けていきます。(写真は右が1です。) 同(写真は左が1です。)
 
最後に、ゆるまないように、稲の葉、茎で括ります。 すずめ除けに、糸を張って完了です。ここ赤目では、約1か月間、稲を干しますが、海に近い地方では、10日くらいで乾燥するそうです。
 
次に、小麦を播きます。実習のために、播いていますが、10月では、早すぎて、11月が適期です。播く量は、1反(1000u)当たり、8升です。 すでに、冬草、特にカラスノエンドウの芽が出てきているので、丁寧に除草します。また、この除草で、麦の種を落ち着かせます。作業は、これだけで、あとは、麦の収穫までなにもしません。
 
ブロッコリーの手入れです。かなり、青虫に食べられていますので、青虫をつぶします。作物が、草に負けそうになっているときに草を刈って、草の生育を止めるのと同じです。 2列に植わっていますが、真中は除草せずに。両端だけ草を刈ります。この畑は、周囲の草を刈ったときに、ここに草を入れており、養分過多(窒素分過多)になっているので、刈った草は、その場に敷かないで、溝に敷くようにしました。周囲の草を刈って、畑に入れる場合、一生を全うした枯れた草は、問題ありませんが、青草の場合は、窒素分過多になる場合がありますので、注意が必要です。
 
しょうがの収穫です。 しょうがの後に、菊菜の筋蒔きをします。全体の草を刈ってから、紐を引っ張って、紐に沿って、くわ幅に土を見せます。
 
くわを使って、2cmくらい耕起し、宿根草の根を取ったり、モグラの穴の修復をします。 平らにするため、くわを使って鎮圧します。種を播いた後の覆土を均一にするためです。
 
菊菜の種を播きます。 覆土用の土を取るため、くわを入れます。
 
草の種の混じっていない、下の方の土を覆土にします。 種が見えない程度に、均一に覆土します。
 
覆土用の土を取ったところを、くわを使って修復します。 乾燥を防ぐために鎮圧します。
 
草を被せます。 完了です。
 
大根のばら蒔きです。大根の種は、固い殻に2、3個入っていますが、それを槌で割った状態のものを、写真のように、箕を使って、殻を飛ばします。 殻が飛んで、種が現れました。
 
この場所は、先月大根の筋蒔きをした所ですが、だいぶダイコンサルハムシに食べられて、欠株もありますので、全体にばら蒔きしました。 草を刈って、大根の種を落ち着かせます。