川口由一さんの実地指導

2007年2月11日の指導の一部です。

2月は、赤目自然農塾の始まりの月で、今年で17年目になります。まず、自然農で使用する道具の説明です。最初にくわですが、くわの刃と柄の角度が60度くらいのくわを選びます。45度くらいのくわは畝作り用で、90度弱くらいのくわは開墾用で、60度くらいのくわが万能で使いやすいものです。刃は、鍛冶屋さんが作ったもので、重いものがよく、刃の重さを利用して使用するのがコツです。刃の薄く軽いものは、あまり仕事をしてくれませんので、使用していると疲れます。鍛冶屋さんの作ったものは、刃が減れば付け替えることもできます。このようなくわは、赤目の近辺では、国道165号線沿いの井上植物園(名張市)、あるいは、福岡県のみみず屋さんで売っています。 次に、鎌ですが、鉄製の鋸鎌を使用します。ステンレス製の鋸鎌は錆びませんが、滑ってあまり切れません。
 
次に、スコップですが、写真右下のスコップは小さくて、あまり仕事をしてくれません。普通サイズのスコップを選びます。、柄は鉄製と木製がありますが、柄の木製のスコップが長持ちして使いやすいものです。 写真は、備中くわですが、一般には稲刈りの後の根を掘り起こしたりする時に使用しますが、自然農では、使用しません。
 
えんどうの支柱立てです。杭を打ち付けます。 この場所では、3本杭を打ち込んだ後、次に支えを打ち込みます。
 
支えを縄で縛ります。 縄を張ります。両端の支えの杭は、支柱が内側に倒れないようにするためです。
 
藁を括っていきます。春になってえんどうが成長すると、えんどうのつるがこの藁に巻きついて、上の方に伸びていきます。縄は最終的には3段張って藁を括っていきます。 わらを括った状態。
 
この時期、ひよどりにえんどうの芽がすべて食べられることがあるので、このように、えんどうを藁で囲っておくと、ひよどりの害から守られます。 たまねぎの植え付けです。昨年11月にたまねぎの苗の植え付けをしましたが、苗床に成長の遅いものを残していましたので、この日、その苗を植え付けました。これから、なんとか成長すると思われます。
 
15センチ間隔くらいに植え付けました。 最後に、補いに、ぬか、油粕半々を撒きました。
 
この畝は、先月ごぼうを掘り出した畝で、今は何も植わっていませんが、昨日、室生山荘で出た生ごみを畑に戻しています。 新たに借りた、上の田の水田の整備です。入塾者が増えていますので、この2月から借りることになりました。一昨年まで、地元の農家の方が水田をされていましたが、昨年は休耕している田んぼです。
 
4m幅に畝を、作ります。溝幅は40cmくらいです。紐を40cm幅に2本引っ張り、スコップで溝を掘っていきます。まず、紐に沿って右側にスコップを入れていきます。 次に、左側にスコップを入れます。右左、各々3回スコップをいれます。
 
次に、掘っていきます。 深く掘りすぎると、床を破って、保水性が落ちるので、床を破らない深さに掘ります。写真の手の先の黄土色部分が床です。
 
溝を掘った土は、谷側の畝の幅が狭かったので、畦の幅を1m以上にするために積んでいきます。畦の幅を広くするのは、水もちをよくするためです。 写真のように、スコップで溝を仕上げていきます。
 
4m間隔に溝を掘ったら、最後にぬかを撒きます。この水田は一昨年まで在来農法で稲を作っており、地力がないので、1反(1,000u)当たり200kgくらい撒くようにします。自然農を何年も重ねていけば、ぬかは必要ありません。 ここは、元は茶畑で、昨日、共同作業で、一面に茂っていた笹を刈りました。この畑は、日当たりがよくて、よく乾燥していますので、水もちをよくするために畝が斜面に平行に立てられています。畑の湿り気が多ければ、畝は斜面に沿って立て、水はけをよくします。
 
笹の根がすごく張っているので、この畝に野菜の苗を植え付けるには、この強烈な笹の根を切る必要があります。植え付ける場所の笹の根を、スコップで切ります。耕すのではありません。 角度を90度変えて笹の根を切ります。次に角度を45度変えて根を切ります。作物の根が十分に張れるように直径30cm強くらいの大きさで笹の根を切ります。
 
切った太い根は、そこからまた芽が出てきますので取り出しておきます。このようにして、ここに苗を植え付けていきます。新たに畝を立てて溝の土を十分上に積んでいる場合は、下に笹の根があっても、上の土の部分で作物は根が張ることができるので、ここまで笹の根を切る必要はありません。 最後に枯草を被せておきます。
 
畑の開墾です。 完了です。